ラブレター Love Letters
それは他のガラクタや書類の中からふと現れた。 13年ほど前の恋愛の欠片。存在さえ忘れていた、当時の彼からのラブレター、そして私の日記があちこちに散りばめられた当時の手帳。 NYへ行く前の古い古い昔の恋。すっかり記憶から消されていた当時の深い感情と愛情が、そこに赤裸々に刻み込まれ、躍動感溢れて私の目に飛び込んできた。 ☆☆☆ 過去の数々のラブレターの中で最も感慨深く切ない1通は、ある寒い1月の夕方に届いた。 始まりは、岩手に住む母からの短い電話。 「Chrisから厚い手紙が届いたんだけど。」 どうしようかと思った、開けようか捨てようかいろいろ考えたんだけれど、決めるのはアンタだから、と、東京のアパートに送ったという。 Chrisは、NYに住んでいた時の恋人だった。生活を共にし、仕事も一緒にし、心から愛した人、”Love of My Life”と心から信じ、終わりのない二人の生活を疑いもしなかった。 なのに、終わりはやってきた。未来のない関係を受け入れることは、死ぬほど辛かった。必死で断ち切り振り切ろうと苦しんだ期間は長かった。 そんな中NYで出会ったShane。とある理由で半年ちょっと1時的に日本に戻る私を追い、彼が付いて来て、そのまま東京でプロポーズされて結婚。ひょんなことから出会った飲食業プロデュース界でのデザイン業が波に乗り、友達も出来始めて東京生活が面白くなり始めた頃、夫となったShaneと話し合いをし、これも良い機会だから東京生活をもう暫らくトライしようかと、取得直前のアメリカビザを辞退しNYに戻るのを延期し、二人で日本生活を続けることに。 Shaneとの愛と笑顔に毎日包まれ、ようやく訪れた平穏な生活の只中に、その1通はやってきた。 「厚い」なんてもんじゃない。はち切れそうな封筒の中から飛び出してきたのは、手紙というより書類。短編小説的な量の、見覚えのあるかわいく几帳面な手書き文字。 今になってどんな怒りを私にぶつけようというのか。恐怖で体が硬くなり、読まないで捨てようかと長いことためらった。けれど、私に伝えたいChrisの今の気持ちを知らないまま今後の人生を歩むのも同様に怖かった。Chrisとは一切連絡を絶っていたから、私の日本行きまでは知っていたけれどその行き先までは知らない彼、私の両親の...